目次
1. 省エネ補助金とは
現在、省エネ補助金制度は経済産業省(資源エネルギー庁)、環境省、国土交通省、一部自治体などにより実施されています。その予算は2021年度の環境省の事業案だけでも900億円以上計上されており、補助金制度を上手に活用することで大幅なコストダウンと同時に企業のイメージアップも実現。では省エネ補助金の意義を確認するために、その流れをチェックしてみましょう。
1.1. 始まりは「オイルショック」
昭和54年(1979年)に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)が、現在の省エネ補助金の始まりとなっています。オイルショックに端を発したこの省エネ法は、工場や事業所などで使われるエネルギーの効率化を促進しました。さらに1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミット(国連環境開発会議)で「気候変動枠組条約」が締結され、その後の京都議定書やパリ条約で具体的な二酸化炭素の削減目標が決定。削減目標を達成すべく、国や地方自治体は給湯や照明、空調などエネルギー消費の大きな機器の省エネ化に対して補助金や助成金を給付し省エネ化を推進しています。
1.2. 例年の補助金採択率とは
例年の補助金採択率の説明の前に、まずは補助金の採択率についてご説明します。工場やホテル、旅館、飲食店などで照明やエアコン、ボイラーなどの設備を更新して省エネを実現したとしても、すべての補助金申請が受理されるわけではありません。申請額が予算額を上回る状況では申請が採択できず、どれだけ設備にお金をかけて省エネを実現しても費用は全額企業の負担、さらに申請にかかった事務手続きも企業負担となります。補助金採択率には要注目なのです。
1.2.1. 具体的な補助金採択率について
エネルギー使用合理化等事業者支援事業(省エネ補助金)の最近の補助金採択率は以下のとおりです。
年 度 | 工場・事業所単位の採択率 | 設備単位の採択率 |
---|---|---|
平成30年(2018年) | 61.7% | 70.4% |
令和元年(2019年) | 91.1% | 90.0% |
令和2年(2020年) | 80.7% | 76.9% |
※令和元年から、電力需要の低迷に資する設備投資支援事業費補助金(省電力補助金)とエネルギー使用合理化等事業者支援事業(省エネ補助金)が分かれて公募されるようになりました。省電力補助金の採択率は新規申請で68%、中小企業で76%となっています。
2019年度以降は新型コロナウイルス感染拡大のため申請件数自体が減少しており、採択率が高くなる傾向となっています。
2. 今年は少し違う?先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金
「エネルギー使用合理化事業者支援事業」はエネ合とも呼ばれ、省エネ補助金の代表として知られています。ところが令和3年から名称が「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」と改称され、令和3年からの10年間はこの名称で募集の予定です。同時にその事業内容も変化している点にも注意してください。今までは設備を導入する省エネ効果を2つに分類していました。
- 工場・事業場単位
- 設備単位
ざっくりとした分類だったのですが、名称変更と同時に事業分類が4つに細分化されています・
- 先進事業
- オーダーメイド型事業
- 指定設備導入事業
- エネマネ事業
では募集される事業分類をそれぞれチェックしていきましょう。
2.1. 先進事業
先進事業で申請を出したい場合は、省エネ設備のなかでもとくに高い技術力や省エネ性能をもち、導入後の潜在能力が拡大されると期待されている設備を設置した事業に対して補助金を支給します。この事業はあらかじめ指定された省エネ設備を設置する必要があります。
省エネルギー効果の要件は省エネ率30%以上、省エネ量1000 kl以上、エネルギー消費原単位改善率15%以上
補助金の限度額は最大15億円、下限額は100万円(いずれも1年間)
2.2. オーダーメイド型事業
これは既存の設備を設置することができない事業者向けです。個別に設計が必要な設備やプロセス改修による省エネ取り組み、複数事業者による省エネへの取り組みに対して補助金を給付します。
省エネルギー効果の要件は省エネ率10%以上、省エネ量700 kl以上、エネルギー消費原単位改善率7%以上
補助金の限度額は最大15億円、下限額は100万円(いずれも1年間)
2.3. 指定設備導入事業
指定設備導入事業で補助金の申請をしたい場合は、あらかじめ指定されている設備を採用しなければなりません。指定されている空調設備やボイラーなどには一定の技術力や省エネ性能があることが事前審査で証明されており、事業所側はこれら設備を設置することで省エネ基準を満たしやすくなります。
2.3.1. 指定された設備について
指定されている設備は大きく「ユーティリティ設備」と「生産設備」に分かれています。具体的には以下のような設備が指定されているので参考にしてください。
ユーティリティ設備 | 生 産 設 備 |
---|---|
高効率空調 | 工作機械 |
産業ヒートポンプ | プラスチック加工機械 |
産業用給湯器 | プレス機械 |
高性能ボイラ | 印刷機械 |
高効率コージェネレーション | ダイカストマシン |
低炭素工業炉 | |
変圧器 | |
冷凍冷蔵設備 | |
産業用モーター | |
調光制御設備 |
補助金の限度額は最大1億円、下限額は30万円(いずれも1年間)
2.4. エネマネ事業
あらかじめ登録されたエネマネ事業者(158件)とエネルギー管理支援サービスを締結し、EMSの制御や運用改善などにより、効果的に省エネを実現している事業に対して補助金が支給されます。
省エネルギー効果は、原油換算で2%以上を達成する事業であること
補助金の限度額は最大1億円、下限額は100万円(いずれも1年間)
3. 2021年の補助金スケジュール
資源エネルギー庁から事業を委託されている一般社団法人・環境共生イニシアチブの公式サイトでは、令和3年の「エネルギー使用合理化事業者支援事業」は以下のような全体スケジュールとなっています。
公 募 期 間 | 2021年5月26日(水)~2021年6月30日(水) |
---|---|
交 付 決 定 | 2021年8月下旬(予定) |
事 業 期 間 | 交付決定~2022年1月31日(月) |
実績報告書締め切り | 事業完了から30日以内、または2022年2月4日(金)の早い日 |
契約や発注は、かならず交付決定通知が来たあとにおこなってください。もし決定通知が来る前に契約や発注をおこなうと補助金の対象外になります。また事業期間の間に「契約→発注→工事→検収→支払」のプロセスを経て、2022年1月31日までにすべてのプロセスを終了させる必要があります。
3.1. 申請方法とは
「エネルギー使用合理化事業者支援事業」の申請には、一般社団法人・環境共生イニシアチブのHPにある「補助事業ポータル」を利用します。あらかじめアカウント登録が必要なので事前準備をしておきましょう。その後、IDとパスワードが送られてきますので「補助事業ポータル」にログインします。
補助事業ポータルで申請書の作成ができますし、書類作成の手引きも同時に公開されています。申請書には添付資料が必要ですが、各事業により必要な書類は異なります。ただ会社情報(法人概要申告書)や決算書、商業登記簿謄本、補助対象設備を導入する建物の登記簿謄本は共通添付資料になります。経営力向上計画に係る認定申請書および認定書の写しや中長期計画書の写し、補助事業の実施体制などの資料は必要に応じて提出します。
書類はすべて1冊のファイルに綴じ込み、一度に提出するのが基本です。添付書類に不足がないように郵送前にしっかり確認しましょう。
4. 省エネで補助金使うならご相談は株式会社ジャストエナジー
株式会社ジャストエナジーは、中小企業のための省エネ・コスト削減・環境改善を支援しています。
すでに省エネ・環境改善事業者として15年以上の実績をもち、過去に対応した事業者は累計500か所突破、設備不具合率0%、省エネ実現率99%以上の実績あり。
空調や動力での電力削減や節水システム、環境改善(防汚・防錆・劣化防止)、燃料代削減など事業所の省エネをお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。
すでに省エネ効果が確認された50種類以上の省エネ商品から最適なプランをご提案します。
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省エネ補助金に関してのご相談も受け付けていますので、お気軽にお問合せください。